回想法を活用して認知症患者を支えよう

回想法とは心理療法の一つであり、アメリカの精神科医が提唱したものだ。その回想法を実施するには知識と技術が求められるため、研修会などに積極的に参加してスタッフも理解を深めることが大切だ。回想法は、相手のプライバシーに関わる事柄が多いので十分に配慮し、守秘義務は必ず厳守する必要がある。認知症患者が触れてほしくない話題などは、あらかじめ家族などから情報を集めておくと良いだろう。

マンツーマンで行う個人回想法は、普段の出来事や天気の話など何気ない日常会話からスタートしていくと相手を緊張させず進めることができる。例えば、昔好きだった歌手や俳優の話から、徐々に古い記憶をゆっくりと話してもらい、楽しく会話を進めていくようにする。グループ回想法は、当日参加するメンバーの組み合わせに配慮し、体調面も考慮して行うことが必須である。認知症の度合いも含め、参加者同士がうまく話せるようメンバーを組み合わせよう。メンバーが決まったら個別に承諾をとり、ベターな組み合わせができているかどうかを確認してから行うといい。

テーマは、参加するメンバーの共通の話題にすると楽しくセッションができる。そして写真やイラスト、ドラマ映画のリーフレットなどがあると、さらに会話が盛り上がることだろう。場所と日程を決めたら、参加者のご家族へも招待状を送り参加してもらうようにする。後日、家などでも会話もスムーズになり、心のケアと脳への刺激が増して認知症の改善が見込まれる。注意すべき点は、家族などプライベートが話の話題の中心になる場合は、気心の知れた仲間意識が出てきたころからにすることである。