認知症のケアに回想法が選ばれるのは、主に3つのメリットが期待できるからである。まず、回想法は認知症患者の精神を安定させることができるという点がメリットに挙げられる。認知症患者の場合、昔の出来事ほど克明に覚えているケースが多いと言われる。この回想法の最大の特徴は、こういった認知症患者の特性を活かす点にある。そこで、アルバムなどを見ながら過去の出来事を回想することで過去の記憶が蘇り、懐かしんだり穏やかな気持ちになるのだ。そのため、認知症患者にとって、回想法は精神の安定をもたらす心理療法と言えるのである。

次に、認知症の進行を抑制させることができる点もメリットの一つだ。回想法は、認知症患者に主体的に過去の出来事を語ってもらうことも大きな特徴と言える。単に思い出すという作業に比べても、過去の出来事を自主的に話すという行為は脳に多くの刺激を与えることにつながる。それによって脳が活性化されて、認知症の進行を遅らせる効果を期待することが可能なのだ。実際、回想法による認知症の予防効果は研究でも確認されている。

3つめは、回想法によってコミュニケーションを高めることが期待されることだ。認知症患者だけでなく、老人介護施設に入居している高齢者の場合、コミュニケーションを取ることは何よりも重要なことだと言える。回想法が潤滑油となって高齢者同士や介護士との円滑なコミュニケーションを生み出し、人間関係を円滑にするというメリットがあることも確認されている。回想法のメリットについては他の参考サイトも合わせて読むと、理解が深まるだろう。